アンカー維持管理の概要
アンカー維持管理の基本的な流れ

※調査項目
- ① 頭部詳細調査(頭部露出調査)
- ② リフトオフ試験
- ③ 頭部背面調査
- ④ 維持性能確認試験
- ⑤ モニタリング(軸力計設置)
予備調査
① 管内施工現場探索

- 施行箇所の把握
-
施行数量の把握
⇨ 調査数量の把握
予備調査の労務歩掛は整備されていません。
② 測量・調査資料とりまとめ
a)測量データの有無

-
測量図
⇨ 管理図・点検図に活用 -
測量手簿
⇨ 基準点等の復元
b)地質調査データの有無

-
現地踏査結果
⇨ 初期現地状況把握 -
ボーリングデータ
⇨ 定着地盤不良の場合に活用
⇨ 過緊張時のすべりブロック検討に活用
③ 設計・施工資料とりまとめ
a)設計データの有無

-
設計計算データ
⇨ 試験値、管理値の設定 -
設計図面データ
⇨ 定着体の位置確認
b)施工データの有無

-
施工図面データ
⇨ 管理図・点検図に活用
⇨ 使用製品の構造・規格把握
⇨ 施工直後の状態把握
初期点検
① アンカー施工箇所の全体カルテ

② 施工全体の外観変状調査

③ アンカー個別カルテ

アンカー詳細調査
① 頭部詳細調査(頭部キャップ内の状況確認)
- 1箇所当たり、4.5~10.0万の調査費用
- キャップの着脱は容易

外観変状調査時の状況

頭部詳細調査時の状況
防錆油の流出、変色を確認

施工時の防錆油の状況
防錆油変色の原因
色変化 | 状況 | 原因 |
---|---|---|
白濁 | 軟化 |
水分の侵入による乳化現象 空気の挟み込み |
赤褐色 | 軟化 | 錆びの発生 |
赤褐色・黒色 | 固化 | 熱による劣化物生成 |
② リフトオフ試験(残存荷重の把握)
- 1箇所当たり、15.0~20.0万の調査費用
- 専門の知識と技術を習得した会社でないと作業は困難
- アンカーを緊張し、支圧版からアンカーヘッドが離れ始める荷重がリフトオフ荷重

試験状況

荷重・変位量曲線

残存引張り力とアンカー健全度の目安
③ 頭部背面調査(頭部背面の状況確認)
- 1箇所当たり、7.0~10.0万の調査費用
- 頭部背面調査は、アンカー荷重の除荷が必須
- 除荷には、緊張余長が10cm以上必要
- 専門の知識と技術を習得した会社でないと作業は困難

外観変状調査時

頭部詳細調査時

④ 維持性能確認試験(定着体部の品質確認)
- 1箇所当たり、30.0~35.0万の調査費用
- 専門の知識と技術を習得した会社でないと作業は困難
- 除荷後に多サイクル試験を行い、緊張力と変位の関係から定着体部、自由長部の品質確認

試験状況

荷重-弾性変位量曲線

荷重-弾性・塑性変位量曲線
不健全な例

荷重-弾性変位量曲線

荷重-弾性・塑性変位量曲線